🏁 はじめに:為替の波に左右されない投資をしよう
「円安だから株価が上がる」「円高だから買い時」
そんなニュースを見て、一喜一憂した経験はありませんか?
確かに為替は日本株の値動きに大きな影響を与えます。
でも、すべての企業が同じように影響を受けるわけではありません。
輸出企業は円安で収益が増え、輸入企業は円高でコストが下がります。
逆に、内需中心の企業は為替の影響をほとんど受けません。
つまり、「為替の方向」ごとに強い企業・弱い企業が存在するんです。
この記事では、円安でも円高でも安心して保有できる、為替に強い日本株5選をわかりやすく解説します。
🚗 円安に強い銘柄(輸出・ドル収益型)
① トヨタ自動車(7203)
世界最大の自動車メーカー。
輸出比率が非常に高く、1円の円安で営業利益が約450億円増加するとも言われるほど、為替の影響を強く受ける企業です。
海外販売の約半分が北米向けで、ドル円の動きが業績に直結。
また、EV・ハイブリッド車・燃料電池車など、新しい分野への投資も進んでいます。

(出典:Google Finance) 2020〜2025年のドル円(青)とトヨタ株(黄)の推移。
💬 分析ポイント
1.輸出比率の高さが円安追い風
- トヨタは売上の6割以上を海外で稼いでおり、円安は海外収益を円換算で押し上げる。
- 為替1円の変動で数百億円単位の営業利益が動くとされ、まさに「円安に最も強い企業」の一つ。
2.為替以外の安定要素も
- 円安恩恵に加え、EV・ハイブリッド・燃料電池などのマルチ戦略が安定感を支えている。
- 為替が逆風になっても、世界販売台数・技術力で相対的に株価が支えられる構造。
3.円高局面では鈍化傾向
- 過去にも円高(例:2016〜2020年)局面では株価上昇が停滞した時期があり、典型的な「輸出依存型」構造が見られる。
円安5年間で株価+90%超。
トヨタは、円安の恩恵を最も素直に受ける輸出企業の代表格。
一方で円高転換時には利益圧迫を受けやすく、為替トレンドの転換がリスク要因にもなる。
「円安=トヨタ強い」「円高=利益圧迫」という教科書的な構造を象徴するチャートと言える。
💡 ポイント
- 円安で利益増、円高で利益減
- グローバル販売体制が強固
- 為替だけでなく、製品競争力も安定
📈 長期投資視点
安定配当(利回り約3%)と世界シェアの高さが魅力。
円安局面で最も恩恵を受ける“定番の主力株”。
長期で保有しても安心感があります。
② ソニーグループ(6758)
エンタメ×テクノロジーの代表格。
PlayStation、映画、音楽、イメージセンサーなどを手掛け、海外売上比率は約70%に達します。
つまり、ドル建てで稼ぐ構造が確立しており、円安になれば円換算で利益が膨らみます。

(出典:Google Finance)
💬 分析ポイント
- 円安メリットの代表株
- ソニーはグローバル売上比率が約8割。特に北米・欧州市場が大きく、為替の円安は「海外売上=円換算利益」を押し上げる構造。
- 為替1円の変動で営業利益が数十億円単位で動くとも言われる。
- 円高局面でも耐性あり
- 半導体(イメージセンサー)やゲーム(PlayStation)の収益基盤が強く、円高でも製品需要が安定している。
- 為替の影響を受けにくい構造的収益(サブスクリプション収入など)も拡大中。
- 他銘柄との比較優位
- トヨタが円安で利益を得る「製造型円安メリット株」なのに対し、ソニーはグローバルブランドとして需要も為替も両取りできる「ハイブリッド型」。
- 為替変動だけでなく、構造的なグローバル展開力が成長ドライバー。
5年間でドル円が約50%上昇する中、ソニー株は140%超のリターン。
これは単なる「円安恩恵」ではなく、グローバル市場で稼ぐ力を背景に為替を味方にできた企業の典型例といえる。
為替リスクを抱えながらも、長期的には「円安でも円高でも強い」構造を築いている点が投資家から評価されている。
💡 ポイント
- ドル建て収益中心の構造
- 為替+成長テーマの両取りが可能
- 半導体やAI分野も注目
📈 長期投資視点
為替の恩恵を受けながらも、独自技術で成長できる。
オルカンやS&P500を補完する**「日本のグローバル枠」**として最適。
株価変動はあるが、中長期では右肩上がりを維持。
🏠 円高に強い銘柄(輸入コスト減・内需中心)
③ ニトリホールディングス(9843)
「お、ねだん以上。」でおなじみの家具・インテリアチェーン。
海外で生産し、日本で販売するビジネスモデルのため、円高になると仕入れコストが下がり利益が増えます。
2022年の急激な円安時には、1円の円安で20億円規模のコスト増という影響もあったほど、為替感応度は高いです。

(出典:Google Finance)
💬 分析ポイント
- 輸入コスト増の直撃
- ニトリは家具やインテリア用品の多くを海外で生産・輸入しており、円安は原価上昇要因になる。
- 特に木材・原油・輸送費などのドル建てコスト上昇が利益を圧迫。
- 値上げ転嫁の難しさ
- 国内競合との価格競争が激しく、コスト上昇を販売価格に転嫁しにくい。
- 「お、ねだん以上。」を掲げるブランド方針が裏目に出る局面も。
- 円高局面では逆に有利
- 一方で、円高になれば仕入れコストが下がり、利益率が改善しやすい。
- 円高局面では景気連動の内需株として復調する傾向がある。
同じ円安5年でも、トヨタやソニーが利益拡大を果たした一方で、
ニトリのような輸入依存型・内需企業は円安が逆風となった。
円安=株高とは限らず、企業のビジネス構造次第で明暗が分かれる好例。
為替に強い企業を選ぶには、「売上の通貨」と「コストの通貨」の両面を見ることが大切。
💡 ポイント
- 円高=原価安で利益アップ
- 円安=仕入コスト上昇で利益圧迫
- 内需+価格転嫁力が安定材料
📈 長期投資視点
円安局面では弱いですが、円高では強さを発揮。
**円安株への“逆ヘッジ”**として組み込むのが賢いやり方。
④ ワークマン(7564)
作業服やアウトドア製品を販売する小売企業。
国内中心のビジネスモデルで、為替の影響をほとんど受けません。

(出典:Google Finance)
💬 分析ポイント
1.円安がコスト増に直結
- ワークマンは衣料・素材の多くを中国やアジア圏から輸入しており、円安は仕入れコスト上昇要因。
- 同時に物流費・エネルギーコストもドル建てで上がり、円安局面では利益を圧迫。
2.価格転嫁しづらい業態
- 低価格・高品質を売りにしたビジネスモデルのため、値上げによるコスト転嫁が難しい。
- 消費者の節約志向が強まると、販売数量も鈍化しやすい。
3.円高時にリバウンド余地
- 円高になれば輸入コストが下がり、利益率の回復余地が大きい。
- 加えて、景気低迷時でも底堅い「ワークマン女子」やアウトドア需要など、国内消費を軸に戻す力を持つ。
円安5年の中で株価が下落したワークマンは、典型的な円安デメリット銘柄。
為替変動で輸入コストが増え、値上げもしにくい構造ゆえ、円安局面では不利に働いた。
一方で、円高反転時には仕入れコスト低下で業績回復しやすい内需株として注目される。
「円安=強い株」だけでなく、逆に「円高=追い風」となる銘柄も知っておくことが重要。
💡 ポイント
- 為替の影響が小さい内需型
- 不況にも強く、固定客が多い
- 気候やトレンドによる需要変動
📈 長期投資視点
景気や為替の波に左右されにくい。
**“地味に強い株”**として安定枠に最適。
長期ポートフォリオの「守りの柱」。
📡 為替中立銘柄(国内基盤+海外展開バランス型)
⑤ KDDI(9433)
通信インフラ最大手「au」を展開する企業。
国内収益が中心で、為替の影響は軽微です。
海外展開もありますが、全体の利益構造では国内安定事業が柱。
つまり、円高・円安どちらの局面でも安定的に稼げる「中立型」。

(出典:Google Finance)
💬 分析ポイント
1.海外依存度が低く為替影響が小さい
- KDDIは通信事業を中心とした内需型ビジネスモデル。
- 売上の大半は日本国内での通信料収入であり、為替変動による影響は限定的。
2.円安局面では海外子会社・投資収益がプラス
- 近年では海外通信や金融(au PAY)・データセンター事業などの海外展開も進み、円安時は多少の恩恵を受ける。
- ただし主力の国内通信が安定収益を生むため、為替による上下動が小さい。
3.円高時もディフェンシブに強い
- 通信料金収入は景気に左右されにくく、円高・景気減速時にも安定的なキャッシュフローを維持。
- 配当利回りが3〜4%と高く、NISA口座での長期保有にも人気。
KDDIは「円安メリット株」でも「円高デメリット株」でもない、為替中立型の代表銘柄。
通信・金融・デジタルサービスという安定収益構造により、景気や為替の波を受けにくい。
為替トレンドを予想するよりも、配当と安定成長を重視する投資家に最適なディフェンシブ株といえる。
💡 ポイント
- 安定収益+高配当(3.3〜3.5%)
- 為替の影響が少なくディフェンシブ
- 長期保有に向いたインフラ株
📈 長期投資視点
配当重視派には外せない銘柄。
NISAや特定口座での**“非課税配当狙い”**にも最適。
📊 為替別の戦略まとめ
| 為替の方向 | 恩恵を受ける業種 | 代表銘柄 | 投資タイプ |
|---|---|---|---|
| 円安 | 輸出・ドル収益企業 | トヨタ、ソニー | 成長・攻め |
| 円高 | 輸入・内需企業 | ニトリ、ワークマン | 守り・逆ヘッジ |
| 中立 | 通信・インフラ | KDDI | 安定・配当重視 |
💬 まとめ:「当てる」より「備える」投資を
為替はプロでも読めない。
だからこそ、**“どちらに動いても困らないポートフォリオ”**を作ることが重要です。
円安なら輸出株が支え、円高なら内需株が守る。
その構成こそが、長期投資の真の安定力です。
NISAでも特定口座でも、リスクを分散しながら“流れに強い投資”を続けることが
10年後に笑っていられる一番の秘訣です。


